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驚きを与え続ける革新的な酒造り 老舗「西堀酒造」の挑戦

皆さんは、1日の中で幸せを感じる時間はどんなときですか。私は、「ゆったりとした夜の時間に日本酒と簡単なおつまみを楽しむこと」が幸せを感じる時間の一つです。

現在、日本酒を造る酒造会社は全国で約1,400社あります。(国税庁統計より)
日本酒の国内市場は、少子高齢化や人口減少、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化や嗜好の多様化等により、全体として中長期的に縮小傾向にあります。

一方で、商品の差別化や高付加価値化、地域連携や海外展開等に積極的に取り組み、需要拡大につなげている事業者も多くいます。

そんな日本酒業界でチャレンジする酒蔵が西堀酒造です。

西堀酒造に共通する旨みとは

今回ご紹介するのは、「門外不出」「若盛」などの銘柄を醸す、栃木県小山市の西堀酒造株式会社。

明治5年(1872年)創業の老舗で、現在社員は14名。栃木県内への出荷が9割と、地元に密着した酒蔵です。

多様なお酒を醸している西堀酒造ですが、共通しているのは、どのお酒もお米の旨みを芯としてしっかりと感じること。濃醇旨口ですが、後味がすっきりしており、食中酒として幅広い料理と楽しめる上質なお酒です。

西堀酒造で取り組んでいるのが、従来の日本酒製造の枠にとらわれない酒造りです。

日本酒製造では、ホーロー製のタンクが主流の中で、タンクの側面部分を見ることができる、業界で唯一となる特注の「透明タンク」を導入。新しい発酵を追求するためLED照射を取り入れた酒造りに取り組むなど、さまざまな新しい挑戦を続けています。

「なぜこのような革新的な酒造りに挑戦し続けるのか」

取り組みを続ける西堀酒造さんに、お話をお伺いしました。

西堀哲也さんの異色キャリアと思い

お話を伺ったのは、西堀酒造株式会社の西堀哲也さん。現在はお父様の西堀和男さんが代表取締役社長として会社を率いている中、西堀さんは専務として、また6代目蔵元として、酒蔵に従事しています。

「いずれは跡継ぎとして蔵に戻ろうと思っていたんです。だからこそ、蔵に戻るまでは、酒蔵だけでは学べない学問や職業を選択してきました」と、西堀さん。

東京大学で哲学を学んだ後、IT企業に就職。その後、実家の家業である西堀酒造で蔵人が腰を痛めてしまい、欠員が出てしまうとの相談を受け、代わりに酒蔵の現場に入るようになったことがきっかけで、蔵へ戻ってきました。

酒蔵の造りの現場に入りながら製造技術について学び、現在は、海外輸出業務や新規事業開発、社内システム構築など、ここでは詳細は書ききれない程のあらゆる側面で会社を引っ張っています。

「ずっと別の業界にいたからこそ、日本酒業界全体を俯瞰的に見ているのかもしれません。お酒は、本当に手間暇をかけて製造されるもの。これほど手間暇をかけて造られるお酒なのに、業界全体を見ると縮小傾向にあり、現在の酒蔵は報われないことがたくさんあります。そんな状況に危機的意識を持っています。その危機感が原動力となり、今しかできないこと、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい。創意工夫をしていきたいと思っています」

他には類を見ないこだわり

そんな意識から生まれたのが、業界初となる「透明タンク」を使用しての酒造りです。

「現代がホーロー製やステンレス製のタンクだとすれば、過去への回帰が木桶、より古くは壺や甕になってくると思います。ここで、酒造りのベクトルを未来に向けたときに、何が出来るのだろう?と考えました。透明タンクの発想は、水族館を見て思いついたことなんです。水族館の水槽のように、醪の様子をあらゆる角度から見られるのは、醪の管理という側面から見ても、新しい酒造りの形だと思いました」

従来のタンクでは、発酵状況はタンクの上部(泡の状態)からしか確認をすることができませんでした。透明タンクを導入することにより側面の情報が追加されます。これにより、櫂棒でかき混ぜるタイミングをより詳細に見極めることが可能となり、酵母本来の自然な動きを優先した、繊細できめ細やかな発酵管理をすることができます。

櫂入れの回数を少なくすることで雑味を低減し、無駄に負荷をかけることなく、自然発酵を追求した丁寧な管理が可能となるため、やさしく優雅な味わいの酒質となります。

「最初は、酒造り用の透明タンクを造りたい!と醸造タンクメーカーに話をしたところ、“素材が全く違うので作ったことがないし醸造の保証ができない”と断られ、アクリル素材関係のメーカーでも、”通常のアクリルだと、高アルコールで溶出が心配、なにより食品や醸造向けというのは前例がない”と何社も断られていました。しかし、諦めずに話を進めるうちに、最新のアクリル素材であれば、日本酒醸造工程のアルコール度数でも耐えうるとわかったんです。そして当社側で仕様設計をすることを条件として、透明タンク製造が現実化しました」

「この透明タンクの製造は、自治体の補助金を有効に活用させてもらいました。補助金申請全般に言えることですが、事業計画を書いているうちに、透明タンクを利用した酒造りのアイディアがどんどん湧いてきて。それが、LEDライトを照射した酒造りや、透明タンク醸造のライブ配信など、新たな取り組みに繋がっています」

未来に向けた新しい伝統をつくる

「ここで生まれたアイディアをもとにして、国や自治体とさまざまな話ができるようになりました。本気でやろう!と思ったら、支援してくれる・応援してくれるところはあるんだなと思いましたね」と、西堀さん。

こういった新しい酒造りに積極的に取り組む一方、西堀酒造は明治5年(1872年)創業という老舗酒蔵でもあります。

「伝統を受け継ぐことは、ともすると同じパターンの繰り返しになってしまいます。伝統って、博物館のようにただ展示されているようなものではダメだと思うんです。伝統に、新しい創造を積み重ねていかないと、先細りをしていくだけです。ただし創造が必要な一方で、酒造りにおける、人間的な要素(手で温度を確かめる・舌で味を確かめるなど)は、大切にしていかなければなりません」

「こういった酒造りの精神はきちんと伝統として受け継ぎながらも、創造的な動きをする。そうすれば、未来に向けた新しい伝統を造り出せると思っています」

日本酒を通じた文化発信

「今後はさまざまなお酒が造れる酒蔵になりたいです。伝統を受け継ぐ中で、日本における酒造りのスピリット(精神)さえぶれなければ、面白い酒造りが今後もできると思います。

我々のルーツは國酒・日本酒ですが、古くは稲作や隋唐文明、仏教伝来に始まり一切の技術や思想を受け容れて独自に発展させてきた日本文化と同じ様に、日本の酒造りも古今東西の叡智や現代技術と呼応して独自に発展させていきたいという思いがあります。

また、日本酒は日本の伝統あるお酒。その日本酒の蔵元である以上、日本酒を通じて日本文化も発信できる存在でなければいけないと思っています。今後も、その役割をまっとうしていきたいです」という目標も語っていただきました。

西堀酒造では、2020年、スピリッツ(蒸溜酒)の製造免許を取得し、現在新たにウイスキー製造の準備を始めています。

西堀さんが老舗蔵元として挑み続ける、新しい酒造りに今後も目が離せません。

今日は、西堀さんの酒類業界への熱い想いと新しい挑戦の中で生まれた、透明タンク醸造のお酒、「門外不出 純米大吟醸 CLEAR BREW(クリア・ブリュー)」で乾杯しませんか。

参照先
西堀酒造HP:https://nishiborisyuzo.com/
ふるさとチョイス:https://www.furusato-tax.jp/
住所:栃木県小山市大字粟宮1452
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