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100年続く「堀江銘茶園」、夫婦で挑む高低差を利用したこだわりのお茶づくり

福岡県の南東部、大分県との県境に位置する山あいのまち・福岡県うきは市。山の麓には果樹園が広がり、一年を通して多種多様なフルーツが実ります。

そんなうきは市は「八女茶」で有名な八女市に隣接し、お茶の産地でもあります。浮羽山間部は日照時間が短く、気温が低く、昼夜の温度差が大きいため、新芽がゆっくりと育ちうま味成分が長く保たれるそう。

この地で100年以上続くお茶農家の7代目・堀江さんご夫婦にお会いしました。

お茶づくりの熱意あふれる研多郎さんと、嫁いでからお茶の奥深さにより惹かれていったという奥さま。優しい雰囲気のご夫婦にお茶づくりの現状からこだわり、おいしい飲み方まで教えていただきました。

多品種栽培によるこだわりのお茶づくり

明治40年創業、うきは市で100年続くお茶農家「堀江銘茶園」。7代目の堀江さんご夫婦は、お茶の生産から加工・販売までを一貫して行っています。7代目を継ぐことになった12年前と比べると、ペットボトルのお茶が普及したこともあり茶畑10アール(1反)あたりの売上が半分にまで下がってしまったとのこと。

売り上げを保つために茶畑の面積を増やし、希少な品種も含めて多品種栽培をすることに。それによって独自性を打ち出し、こだわりのお茶作りをしています。

堀江銘茶園の特徴は、標高40mから600mの分散した茶園を持っていること。それにより、標高が低いところでは早い品種、標高が高いところには遅い品種を栽培し、常に適期でお茶摘みができるようにしているそうです。

堀江さんがつくるお茶は、全7品種。こうして比べてみると、色の濃さや味の違いがわかります。

うきはのお茶を多くの人に知ってほしい。ダメ元で応募した「日本茶AWARD」

「うきはのお茶の知名度が低い。福岡といえば八女茶じゃないの?」という声が多く、堀江さんは悔しい想いをしていたそうです。

2019年、堀江さんご夫婦は1つの挑戦をします。

「日本茶AWARD2019」に初出品。ダメ元で応募したところ、水出し茶部門で審査員奨励賞を受賞しました。

2020年も出品をするため前年から準備していましたが、新型コロナウイルスの影響で大会自体が中止に。

そのとき、「Japanese Tea Selection Paris2020」というパリで唯一の品評会があるということを知り、悩みに悩んで応募。

海外のことなので出品方法もわからないなか、挑戦してみたところ「おくみどり」という品種がなんと金賞を受賞。

夜中1時頃に受賞の連絡が入った際、「あまりの嬉しさにボロボロ涙が出た、味が認めてもらえたんだなという嬉しさだった」と奥さまは言います。

茶摘み前に「被覆」という作業を行い、この作業によって旨味の強い、緑の濃いお茶になるとのこと。「Japanese Tea Selection Paris2020」で金賞を受賞した「おくみどり」は、この被覆を通常は収穫後10日間くらいのところ、最低でも2週間、余裕があれば20日間ほど寒冷紗をかけます。それによって、より旨味の深いお茶になるそうです。

「本当はきつい作業なので、できることならやりたくない。でも、どうしてもおいしいお茶を飲んでほしいのでがんばってやっている」と語る研多郎さんからは、お茶への深い愛情とそれを楽しみに待っているお客さんへの想いが感じられます。

おいしいお茶を家で楽しむ方法

そんな堀江さんご夫婦に、自宅でできるおいしいお茶の楽しみ方を聞いてみました。「自分たちはお茶をつくる専門なので、お茶の飲み方を教えられるほどではないのですが…」と謙虚なお言葉が。

普段堀江さんご夫婦が飲んでいる方法をお聞きすると、なんと急須がポイントとのこと。

「よくある、茶こしがついているものは、面積がせまく茶葉が開ききらない」。

堀江さんご夫婦は蓋のない急須を使っており、これだと十分に茶葉が開きお茶本来のおいしさを引き出せるとのこと。

私も実際に購入し、家で実践。茶葉が開ききっているかなんて気にしたことがなかったのですが、いざ淹れてみるとお茶の良い香りがより感じられて、なんだか癒し効果もあるのではと新たな発見でした。

わたしたちの声が農家さんの励みになる

今回堀江さんご夫婦にお会いし、時代の変遷とともにお茶業界が苦しい状況にあることを知りました。そんななかでも、「おいしいお茶を飲んでほしい」と笑顔で語るご夫婦の姿が印象的でした。

お茶づくりの奥深さ・ご夫婦の想いを知ったうえで家で飲むお茶がこれまでとは違った味わいに感じられたのは、きっと「作っている方の想い」に触れられたからだと思います。

作り手を知り、食をたのしむ。そして、お茶を飲むことが農家さんの応援につながっていくのでしょう。

(文:藤井楓)

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