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「香り付けの山桜は山で探す」1か月かけてつくる精肉店のベーコン【牛山精肉店】

みなさんは「こだわりのベーコン」ってどんなものだと思いますか。

通常ベーコンは2日〜3日で完成するものが多く、その中でもこだわり抜いているものも多数。しかし、今回ご紹介する牛山精肉店のベーコンは完成までに1ヶ月以上とより丹精込めて作られる珠玉の逸品。

静岡県の沼津市にある牛山精肉店には、毎日遠方から訪れたお客さんが並び、著名人のファンも数知れず。

今回は、そんなこだわりが詰まった牛山精肉店の店主・下山さんが生み出す「こだわりのベーコン」を紹介します。

自分が美味しいと思うものを作っているだけ

「どうしてこんなに美味しいの?ってよく聞かれるけど、普通に作ってるだけ。仕込んでから1ヶ月掛かるときもあって毎回できあがりが違う。それが面白いんだよ」

下山さんは、18歳のときに世界一の肉屋になることを決意し、50年以上精肉店を営んでこられた屈指の職人さん。

調理場には一切化学調味料を置いておらず、長年の経験で培った目利きで、お肉本来の味を活かすことを大切にされています。

牛山精肉店の特製ベーコンの魅力は、何よりその香りと旨味です。

袋を開けた瞬間、桜の木の芳醇な香りに包まれ、ひとくち噛めばお肉の旨味がじゅわっと口の中に広がります。

「こだわりなんてないよ、ただ自分が美味しいと思うものを作っているだけ」

その言葉の裏で、満足いく味を作るために大変な手間を掛けられています。

自然な美味しさのために、自然の素材にこだわる

香り付けに使っている桜の木は、自らチェーンソーを持って近辺の山々に採りに行ったもの。気づけばそのこだわりの活動は10年以上に渡っています。

人の胴回り以上もある大木を切り倒し、切り分けるのは重労働そのもの。

しかも、使うのは自然に育った白い山桜の木のみ。そのこだわりからなかなか良い木に巡り会えないこともしばしば。

そんな大変な作業にも「そうやって試すのが面白いんだよ」と下山さんは笑います。

仕事は遊び、自分はお肉を作る仕事で遊ばせてもらってる

今では精肉店の仕事は分業化され、目利きや加工など一連の工程をこなせる熟練の肉職人が少なくなっています。

日本では数少ない熟練の肉職人として「次は日本一の芝浦市場の競売(セリ)に挑みたい」と語る下山さん。

口コミや紹介でたくさんのリピーターさんがやってくる牛山精肉店のお肉は「美味しい」のひとことでたくさんのひとをつないでいます。

たくさんのお客さんと「友だち」になりながら、肉職人として調理場に立ち続ける下山さんはお肉だけでなく美味しいお魚にも興味津々。

食にこだわり、ただただ「美味しい」を追い求める姿。

こだわりがないとあっけらかんに話しながらも、子どものようにきらきらとした瞳で美味しさを追求する姿にこそ、揺るがないこだわりが見えました。

(文:守時健)

参照先
店名:牛山精肉店(ウシヤマセイニクテン)
店舗住所:静岡県沼津市三園町10-21
電話番号:055-932-7007
電話受付時間: 9:00~19:00
定休日:火曜・水曜(祝日の場合は営業)

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