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城主になったら何する?100名城「丸岡城」が募集する「現代の城主」【丸岡城百口城主プロジェクト】

お城ファンにとって夢のような取り組みが、福井県坂井市で行われています。
お城を眺めて愛でるだけではなく、城主となって城の未来を地域の人と共に考え実行できるのです。

日本100名城のひとつにも数えられる福井県坂井市の「丸岡城」。まちの子どもたちに「お天守」と呼ばれ、地域のシンボルとして愛されるこの丸岡城が、城主を募集しています。坂井市が始めたこの前代未聞の取り組みの名は「丸岡城百口城主プロジェクト」。
地域愛、お城愛あふれる人々が紡ぐ、ユニークなプロジェクトをご紹介します。

現代に誕生する百口城主のお役目とは

天正4年(1576年)初代城主、柴田勝豊(しばた かつとよ)によって築城された丸岡城。その後、明治4年に廃城となるも、地域の人たちに守られ今でも美しい姿が残っています。そんな丸岡城が募集している現代の城主には、どのようなお役目があるのでしょうか。

お役目その1:丸岡城の魅力やロマンについて、仲間と語り合う

丸岡城を愛してやまない地域の人や百口城主仲間と、ファンミーティング(現在はオンラインが中心)で、丸岡城が秘める歴史ロマンについて心ゆくまで熱く語りあってください。時にはとてもマニアックな場所をめぐる現地ツアーに参加することで、その知識欲を発散させましょう。

お役目その2:丸岡城やその城下町をさらに魅力的にしていく

「丸岡城のために使ってほしい」と全国から寄せられたふるさと納税の寄付金。これらをどのように活用していくべきか。お城ファンという視点からアイデアを出し、地域の人たちと共に考え、実現していきます。

丸岡城のファンミーティングに参加できるだけでなく、城を中心としたまちづくりに地域の人たちと一緒に参加することができるのです。これぞまさに現代の城主!

街が良くなっていく過程を共に味わいたい

百口城主プロジェクトを始めるにあたり、福井県坂井市は「ふるさとマンスリーサポーター」という仕組みを採用しました。登録をすることで、毎月決まった額を坂井市に寄付をすることができる仕組みです。このふるさとマンスリーサポーターに登録することが丸岡城の百口城主としての第一歩になります。

「一度寄付をして終わりではなく、その寄付金が地域に還元され、まちが変わっていく様子を見てもらうことで、坂井市に寄付してよかったなと思ってもらいたい」

百口城主プロジェクトの立案者である坂井市役所の小玉さんは、このプロジェクトにかける想いをそう語りました。2019年7月から始まったこのプロジェクトには、計59名が参加し、既に計21名の城主が誕生しています。(2022年3月時点)

「百口城主さんを受け入れる地域の人たちも、とても熱い想いで取り組んでいます」

小玉さんが紹介してくれたのは、坂井市役所と共に百口城主プロジェクトを盛り上げている「一般社団法人丸岡城天守を国宝にする市民の会」。名前からして丸岡城への愛がひしひしと伝わってくるこの市民団体の熱量はすごいものでした。
市民の会は、2018年に同団体が策定した「丸岡城周辺 賑わいのまちづくりビジョン」に基づき、「お城ファンのための聖地を作りたい」との想いから、丸岡城のふもとに「城小屋マルコ」というおしゃれな古民家風の喫茶店をオープンしました。

空き家を改修し、お城に関する書籍や文献を集め、足りない資金はクラウドファンディングで応援を募りオープンさせた「お城ファンによるお城ファンのための場所」なのです。
店内には全国各地のお城や歴史に関する本が600冊ほど並べられ、店主の松江さんが淹れるおいしいコーヒーを味わいながら、お城談義をしたり、お城について調べることができます。もちろんお城巡りの心強いサポートもしてくれます。

松江さんをはじめとする、熱い想いを持った地域の人たちと何度も顔を合わせて語り合ってきた百口城主たちは、今やお互いに顔が見える関係となっていました。
丸岡城の宣伝のために坂井市がお城EXPOに出展すれば、百口城主が応援に駆け付けてくれる。坂井市PRのためのモニターツアーを企画すれば、百口城主が率先して参加してくれる。城小屋マルコのオープンにあたっては、百口城主からもクラウドファンディングの支援があったそうです。

「城が好き」から「地域の人が好き」へ

丸岡城をきっかけとし、人と地域がつながっていく様子を間近で見守ってきた坂井市役所の小玉さんが、胸に残ったとある百口城主の一言を教えてくれました。

「丸岡城はもちろんだけど、何より丸岡の人が好きなんだよね」

「城が好き」から百口城主として活動に参加をしてきましたが、地域の人たちと交流を重ねることで、いつの間にか「丸岡の人が好き」になっていたのです。

今住んでいるところでもなく、出身地でもないけれど、好きなことを通じてつながった「第3の居場所」。坂井市の人たちを見守ってきた丸岡城は、百口城主プロジェクトによってまちの中の人と外の人を繋ぐシンボルとなり、この先も愛されていくことでしょう。

丸岡城の百口城主は2022年4月22日現在も大募集中です。坂井市の人たちと一緒に、城下町の再建に取り組んでみませんか。

(文:小笠原 華純)

▼参考リンク
百口城主プロジェクト
https://www.furusato-tax.jp/feature/detail/18210/3989

城小屋マルコ
https://www.shirokoyamaruco.org/

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