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薬草発祥だからこそ生まれた「からだ想いの一品」|奈良県曽爾村【大和コーラ】

クラフトビールをはじめとした「クラフト系」の飲み物が人気のなか、最近じわじわと存在感を増しているのが、地域特産のスパイスやハーブ、フルーツなどをブレンドして作られたご当地ものの「クラフトコーラ」です。

地域色豊かで味わいや風味もさまざま。余計な添加物が入っていないので、健康を意識する人にもおすすめです。その中でも今回は、奈良県に古くから伝わる「薬草」を使ったというユニークなクラフトコーラ「大和コーラ」をご紹介します。

薬草発祥の地の伝統を守りたい

大和コーラが作られているのは奈良県の宇陀地域、人口1300人ほどの村「曽爾村」です。

宇陀地域は、日本最初の「薬猟(くすりがり、薬草などを摘む古代の習俗)」が行われた地として日本書紀に記される、国内薬草栽培の一大メッカ。曽爾村には漢方薬などに使われる「大和当帰(やまととうき)」の青々とした畑が広がり、かつては年間数百キロもの大和当帰を栽培していたそうです。しかし、安価な海外産の漢方に押されて近年は栽培量も減り、その存続が危ぶまれています。

そうした状況のなかで「曽爾村の薬草文化をどうにか繋ぐことはできないか」と立ち上がったのが、一般財団法人曽爾村観光振興公社の立花弘晶さん。

生まれ育った曽爾村の文化を守りたいという想いから、数年前に東京からふるさとの曽爾村に帰郷。曽爾村観光振興公社のメンバーとして大和当帰のPRに関わるようになりました。

「与る」「紡ぐ」「繋げる」からコーラを発案

当時の曽爾村では、大和当帰はあくまで漢方薬などの原料として栽培されていました。このままでは事業の継続は難しいと考えた立花さんは、大和当帰を使った加工品の開発を思い立ちます。しかし、ビールやお茶、石鹸など思い当たるものはすでに周辺の自治体が開発に取り組んでおり、なかなか独自の加工品開発に着手できない日々が続きます。

「そんなときにたまたま、クラフトコーラというものが世の中にあることを知ったんです。これだ!と思いましたね」

曽爾村に古くからある薬草をコーラとして現代風にアレンジすれば、世代を問わず多くの方に楽しんでもらえるはず。そう思うが早いか、さっそくクラフトコーラ開発をスタートさせた立花さん。古代から受け継がれる自然豊かな大地の恵みを<与る(あずかる)>、村の人々の思いや村の未来を<紡ぐ>、曽爾村の歴史を<繋げる>ことをテーマに試作を重ね、大和当帰だけでなく、奈良県特産の「大和橘(やまとたちばな)」や、木肌といった地域に古来から伝わる植物も原料として取り入れた大和コーラを完成させました。

15種類以上のスパイスやハーブがブレンドされた天然素材100%。原液を炭酸水で割るのがおすすめの飲み方で、コーラならではの清涼感と鼻に抜ける薬草の香りがくせになる一品です。

「地域を知る、好きになる」きっかけに

大和コーラは現在、曽爾村のふるさと納税のお礼の品として登録されているほか、同社が運営する曽爾高原ファームガーデンや曽爾高原温泉お亀の湯、奈良県内の百貨店や飲食店などで販売されています。反響も上々、大和コーラを通して薬草の地としての曽爾村を知る人も多いのだとか。今後は曽爾高原ビールと大和コーラのディーゼルやクラフトウイスキー、クラフトジンなどが新たな商品として検討されています。

何より生産者さんや関わってくださっている方々に喜んでいただけているのが嬉しいという立花さん。地域の方々と一緒に取り組めているという実感が、大きなモチベーションになっているそうです。

「新たな商品を通して曽爾村を好きになってくれる方が一人でも増えてくれたら。そこから曽爾村に行きたい、住んでみたいという好循環に繋がることを目指して、これからも取り組んでいきたいですね」

「大和コーラ」の魅力を引き立てる人のストーリー

薬草文化発祥の地で生まれた、一般的なコーラに対するイメージを覆す「体にやさしいコーラ」。数あるクラフトコーラのなかでも個性際立つ大和コーラ誕生の背景には、失われつつある地域の文化や歴史を守りたいという立花さんの想いがありました。

品にまつわるストーリーは、それを味わう時間をより豊かにしてくれるように思えます。今回ご紹介した大和コーラをはじめ、地域で生まれる様々な「ご当地もの」を楽しみながら、その背景にある地域の歴史や文化に想いをはせてみてはいかがでしょうか。

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(文:和田圭介)

お問い合わせ
一般財団法人 曽爾村観光振興公社
住所:奈良県宇陀郡曽爾村太良路830 曽爾高原ファームガーデン内
TEL:0745-96-2888
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