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子どもの貧困を救う「こども宅食」、親子とつながり未来を築く【こども宅食】

子どもの7人に1人は貧困状態にあるという日本。特にひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%と、OECD加盟34カ国の中で最悪の水準です。こども食堂などの支援はあるものの、困っていることを周囲に知られたくないため、「つらい」と声を上げられない親子が多く、支援が届かない事もあります。

そんな親子とつながるため、2017年に東京都文京区で「こども宅食」が始まりました。

画期的な取り組みとして、多くのメディアに取り上げられた「こども宅食」。一体どのような取り組みなのでしょうか。

親子とつながることで、未来につなげていきたい

「仕事を掛け持ちしながら子育てをしているので、平日に窓口に行けない」

「支援を受けていると人に知られたくなくて、誰にも相談できなかった」

どんなに生活が苦しくても、支援に繋がれない家庭があります。さらに、家庭ごとに抱えている問題もさまざま。

文京区「こども宅食」は食品を自宅まで配送することをきっかけに親子とつながりを持ち、必要な際には適切な支援につなげていきます。

LINEで申し込むことのできる気軽さと、周囲の目を気にすることなく支援を受けられるこの仕組みは、東京都文京区で2017年に150世帯からスタート。2021年には文京区の約700世帯が利用しています。

文京区こども宅食の特徴は、行政・企業・NPOなどの立場の異なる組織が、組織の壁を超えて協力し合い運営しているところです。その活動内容は多岐にわたり、運営資金の調達や物流管理、支援を必要とする家庭への申込案内の送付、広報活動や食品の配送などを行っています。行政だけやNPOだけでは難しい取り組みでも、立場の異なる組織がそれぞれの強みを活かすことで実現できています。

親子のつらいを見逃さない社会へ

東京都文京区の例を起点とし、全国の自治体や民間団体でも生活に困っている家庭に食品を配送する事業が次々と立ち上がりました。

2018年10月に誕生したのが「一般社団法人こども宅食応援団」。その目的は、こども宅食が全国各地で実施できるように支援することです。「地域でこども宅食をやりたい人、やっている人を応援する」というコンセプトのもと、こども宅食事業立ち上げの際の資金助成や伴走支援を行っています。

2021年12月現在でこども宅食応援団が連携している団体数は、全国28都道府県で64団体にのぼり、約10,000世帯の子育て家庭がこども宅食で食品や生活用品を受け取っています。

「いただいた優しさをまた誰かにつなぎたい」

こども宅食での支援を受けた家庭からは、「自分を気にかけてもらえることが嬉しい」という声が多く寄せられるといいます。

「孤独感でいっぱいになっていた中だったので、ご支援頂いた方々の温かいお気持ちに本当に心が救われました。いただいた優しさをまた誰かにつなぎたいと思っています」

こども宅食は食べ物だけではなく、社会とのつながりも届けています。

こども宅食応援団は、全ての自治体でこども宅食が実施されることを目指し、活動を続けています。

(文:小笠原華純)

参照先
こども宅食
こども宅食応援団

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