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築50年の団地に再び活気を!若者たちが取り組んだ再活性化プロジェクトへの思い

全国各地の社会課題となっている「シャッター街」「団地の高齢化」。これらの課題は今後も増加すると言われています。シャッター街化した商店街、高齢化した団地の活用が、なかなか進まない地域も多いようです。

埼玉県北本市も、まさにこの2つの課題を抱えたまちでした。

そこで、若者のまちづくりチーム「暮らしの編集室」が立ち上がり「過疎団地」と「団地敷地内のシャッター商店街」に新たな空間づくりを始めたのです。暮らしの編集室の原動力とは? シャッター商店街はどのように生まれ変わったのでしょうか。

日経新聞などにも取り上げられた「暮らしの編集室」の取り組みをご紹介いたします。

都心から1時間の田舎。埼玉県北本市のシャッター商店街

東京への通勤者を支えるベッドタウンとして、1971年に誕生した北本団地。2022年でおよそ築50年の歴史を迎えます。

長い間、北本に住む人々の暮らしを支えてきた北本団地ですが、全人口に対して65歳以上が43%を超える超高齢化率、それに伴う少子化と高層階の空室化が社会課題となっているのです。

団地に併設された小学校は2021年に閉校に。そして、団地中心地にある北本団地商店街は、シャッター商店街になってしまっています。

19区画中、営業しているのは7店舗(スーパー、整骨院、弁当屋、理容室、郵便局、歯科、内・小児科)。昼間や休日でも人の姿はまばらで、寂しい景色が広がっています。

地元の若者によるまちづくりチーム「暮らしの編集室」

この状況に待ったをかけたのが、北本出身・在住の岡野さん(写真右)、江澤さん(写真左)で結成された「暮らしの編集室」です。

このチームは、北本でどんな楽しい暮らしが実現できるかを、世代・立場・地域を超えて考え、実践することで、新しい北本の可能性を生み出すことを目的として結成されました。

暮らしの編集室とともに団地の活動に関わる吉川さん(写真中央)は、北本団地に住んでいた幼少時の記憶について、こう話します。

「小学生の頃、放課後は毎日のように団地で遊んでいました。団地商店街をはじめ、隣の公園や広場に行けば、かならず友人やその家族と会えたのです。

家族ぐるみで遊びに連れて行ってもらったり、悪いことをしてしまったときは一緒に怒られたり。私にとって北本団地での暮らしは、とても楽しい思い出になっています。

自分も娘2人の父となったことで、あらためて北本団地で過ごした子供時代は、地域の大人たちによって大切に守られていたんだと気付かされました」

-楽しい思い出が詰まった、生まれ育った団地で、自分が出来ることはないか-

この気持ちが暮らしの編集室の二人も動かしたのです。

吉川さんは団地を出てからも、団地に住むご両親の元へ度々通っていました。

行くたびに1店舗ずつ商店街のお店が閉まっていく様子を見て、寂しい思いが募るとともに、生まれ育った団地で出来ることはないかと考えるようになったのだとか。

「自治会長さんにお話を聞いたり、団地の夏祭りに参加したり、親しい友人たちに想いを伝えたりと、自分なりの活動を続けてきました。それが、暮らしの編集室による団地プロジェクトへの参加に繋がったのです」

吉川さんの原動力は、生まれ育った団地を活発にしたい、その思いでした。

しんみりした場所から、笑い声が聞こえる憩いの場へ

吉川さんの思いも汲み取った上で、暮らしの編集室が実際にやったこと。それは、過疎団地の敷地内にあるシャッター商店街を「老若男女の憩いの場にすること」でした。

もともと北本団地を管理されている「UR都市機構」さん、無印良品を展開されている「良品計画」さん、団地リノベーションを手掛けられている「MUJIHOUSE」さんとチームを組んで、まちのシェアキッチン&コミュニティースペース「中庭」を作りあげたのです。

店舗付き住居の2階部分にチームメンバーが居住し、1階店舗のコミュニティ活動をサポートする「新しい住まいのかたち」を考えました。

活動に必要な資金集めは、ふるさと納税で出来るクラウドファンディングを活用。多くの方に賛同・支援をしてもらい、3か月で総計2,004,000円の調達に成功しました。

こうして出来上がったのが「中庭」です。

before

after

中庭では、常時は地域のカフェを営みながら、ほぼ毎日さまざまなイベントを行っています。

例えば、心が踊るジャズライブの開催。店の外までお客さんが集まり、団地外の方も来訪され、新たな社交の場となりました。

子どもたち向けのワークショップも開催しています。親子で参加できるため、子どもたちだけでなく、子育てに奮闘する親世代を繋ぐ場にもなりました。

笑い声が絶えない憩いの場所へ

「地域を盛り上げたい」「自分たちの手で変えていきたい」暮らしの編集室の想いが、民間企業や自治体、そして地元民にも広がっていきました。その結果、笑い声が絶えない憩いの場所「中庭」が出来上がったのです。

中庭は、今日も地元民に欠かせない「集う場所」として重宝されています。

全国各地の社会課題となっている「シャッター街」「団地の高齢化」を解決する糸口の一つとして、こういった「スペースの利活用」は効果的といえるでしょう。

次に暮らしの編集室が計画しているのは「まちの工作室」を作ることなのだとか。「中庭」を中心とした地域活性活動に感化された市外の若手アーティストとともに、新しい場づくりのアイデアを練っています。明日も北本団地が、”楽しい場所” になることを願って。

(文:嶋宮さゆり)

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