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地域は“薪”でもっと良くなる【岐阜・地域商社】ヒダカラ

ローカルに根差す地域プレーヤー。そんなプレイヤーが複数集い、日々、魅力づくりに邁進しているのが「ふるさと地域商社」です。彼らのユニークな取り組みを紹介する連載をスタート。

2020年に創設されたヒダカラは、飛騨地域の地場産品事業者が抱える経営課題解決や戦略立案に取り組む企業。事業者のポテンシャルを見出し、地域の成功体験づくりをサポートすることで、億単位の売り上げアップや寄付金増額を果たすほどに。

ヒダカラの取り組みを「事業者たちとの伴走」と語るのは、代表の舩坂香菜子さん。地域のエネルギーに火を灯すヒダカラは、薪のような役割を担っているよう。「これからの日本は、“薪”でもっと良くなる」と語る舩坂さん。飛騨市は「小さいからこそ戦える」とも地域を分析しています。

地場産品の価値再発見で、地域に誇りと元気を

地域が持つ特色や可能性に着目し、「地場のものを残したい」という想いを抱く舩坂さん。ヒダカラの取り組みの中でも岐阜県大野郡白川村では、豆腐をキーワードに事業者との伴走をスタートさせている。

「白川村のふるさと納税のお手伝いしてる中で、深山豆富さんに出会いました。白川郷は人口が約1500人の街で地場産品が少ない。そうした中で輝いていたのが石豆富でした」

白川村にある深山豆富店は、伝統食材の「石豆富」を作り続けてきた。湧き水と国産大豆が使用された石豆富は、縄で縛っても崩れない食べ応えと豆の美味しさを堪能できるのが魅力だ。

「その豆腐屋さんが廃業することになり、(ヒダカラが)事業承継しました」

このままでは石豆富の伝統がなくなってしまうかもしれない。そこには、地方ならではの課題感もあったという。

「地方の小さい会社ってブラック企業なんですよね。家族経営で朝が早い。でも家族経営なので給料が低くてもやらなくちゃいけない。それができなくなった瞬間に廃業するんですよ。継ぎたい人がいないし、数百万もかかるような機械の更新もできない。放っておいたらなくなっちゃう企業やものがたくさんあるんです」

「皆さん無理してやって廃業してしまうから、そうじゃないやり方を見出したいんです。良いものを追求しながらも効率化できる部分は変えていくことを、スタッフと一緒にやるのが大事。その良い事例を作れたらすごく夢があると思います」

事業者に寄り添いながら、街の人々とのコミュニケーションも濃くしていった。

「豆腐屋さんなので配達があるんですよ。配達では村の方と接することを大事にしています。距離感を縮めるために月に1回、折り込みを作っているんです。スタッフの写真を載せたり、広報みたいなものですね。ほかには地域のお店にご飯を食べに行ったり、白川村で飲み会したり、プライベートでも宿泊で白川村を訪れています」

石豆富のほか、飛騨市の製麺所や飛騨市の米農家との取り組みでも手応えを感じたそう。

「高山ラーメンの麺を作っている製麺所さんがあって、有名なラーメン屋さんに供給していたりしたのですが、経営のピンチに直面していました。1分で茹でれたり、細打ちなのに伸びなかったり、余分な保存料を使っていなかったりと、商品にいいところがたくさんあるんですよ。それなのに販路で苦労されていた中、ふるさと納税向けの商品をご提案し、本格スタートしました。すると(ふるさと納税の)ランキング上位に入るようになりました」

売上や注目度が高まったことで、事業者にも変化が見られたという。

「物産展などのイベントに行くと、その製麺所の麺を知る人が増えていきました。ふるさと納税でブレイクして、全国に可能性が広がっていくのが嬉しかったですね。お米農家さんでも、ふるさと納税で『人生が変わりました』という方がいます」

ヒダカラが出会った米農家は世代交代したばかり。品質の高いお米を作り続けてきた先代から、娘さんに農業を任せるところだった。

「本当にすごく美味しいお米なんです。コンクールの賞も取っているんですけど、うまくPRできていなかった。そこでまず娘さんに勧めてインスタを始めてもらうと、その発信が素晴らしくて。今では1投稿に300いいねが付くほどで、遠方からわざわざ稲刈りに来てくれる人も現れました」

舩坂さんが「あくまで伴走」と語るように、実際に行動を起こすのは事業者自身なのだ。

「自分で発信したら反応があって、それが売り上げに繋がったり、お客さんに『美味しいね』と言ってもらえる。そういうことがすごく楽しくなっちゃったみたいです。娘さんは今では『こういう商品を考えたから、一緒に売り方を考えてくださいよ』と言ってくださるようになりました」

絶妙な距離感で、地域のプレーヤーが輝くために一緒にできることを探すヒダカラ。それはまるで、飛騨地方にあふれるエネルギーを燃え上がらせる薪のよう。

「たくさん商品が売れている事業さんもいれば、まだそうじゃない事業者さんもいます。ヒダカラで魅力の言語化ができていない事業者さんもいらっしゃるので、事業者さんが嬉しくなるような成功体験を一緒に作っていくのが大切だと思っています」

他にも、ヒダカラのふるさと納税を活用した成功事例、楽天を退職してから起業するまでのストーリーなど、舩坂さんが『ふるさと納税地域商社会』で語っています。

『ふるさと納税地域商社会』

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