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地域は“ギャップを埋める意志”でもっと良くなる【秋田・地域商社】ウィルドリブン

ローカルに根差す地域プレーヤー。そんなプレイヤーが複数集い、日々、魅力づくりに邁進しているのが「ふるさと地域商社」です。彼らのユニークな取り組みを紹介する連載をスタート。株式会社ウィルドリブンをご紹介します。

ウィルドリブンは楽天出身者5名を擁する地域商社(2023年11月時点)。2020年から受託した北秋田市のふるさと納税運営支援では、短期間で50倍以上にまで寄付金額を成長させ、秋田の原石ともいえる事業者を次々と発掘。今では秋田県、宮城県、山形県、群馬県から受託し、計14の自治体をサポート中だ。

人口減や高齢化、後継者問題など地方が直面する課題と向き合いつつ、「意志あるところに道は開ける」を強く信じているのは、代表の高田要一郎さん。

「意志というのは、より良くなりたいという気持ちだと。自分自身であったり環境だったり、もっとより良くなれるはずだという意志があれば、現実と理想のギャップがあったとしても、解決しようとして道を開くことができる。ですが一人では解決できない部分もありますので、私たちがふるさと納税という制度を使って、事業者さんの力になりたいですね」

Uターン帰郷&起業で地元の寄付金額を50倍に

かつては楽天市場事業部でコンサルタントとして働き、出店企業のサポートに励んでいた高田さん。2019年に家業のガソリンスタンドを継ぐために秋田に帰郷。2020年9月に新規事業会社を起業し、ふるさと納税やネットショップの支援事業をスタートさせた。

「楽天の仕事がすごく楽しくて好きだったので、辞めたあともそういう仕事をしたくて地域商社を始めたようなところもあります」

楽天市場の出店企業サポート業務では、担当企業が全国賞受賞に輝くなどやりがいも大きかったという。

「今は家業のガソリンスタンドとウィルドリブンの2社の経営に携わっています。ガソリンスタンドは県内に4拠点あり、整備工場や小さなスーパーなどもやっています」

Uターンして家業を継ぎながら起業も果たした高田さん。充実した日々にも見えるが、葛藤を感じていたこともあったのだとか。

「帰郷してからは自分が家業の中で何を為せるのか、いろいろ調べたり取り組んだりしながら、『実家の会社×自分×何か』で新たな価値創出を模索しています。しかし、会社の新たな柱になる事業を作る難しさに直面し、無力感に苦しむことも多々あります。そんな中、自分が得意なことで勝負してみたいと考え、楽天時代に培ったノウハウを活かすことを考え始めました。楽天時代の元同僚が地域商社を立ち上げていたこともあり、ふるさと納税事業なら自分にできることがあるんじゃないかと思いました」

そうして北秋田市の役場に飛び込み営業へ。すると予想以上に話がスムーズに進んだそう。

「急いで資料を作り、駄目元でふるさと納税運営支援の提案をしたところ、2か月位経った頃に『お願いしたいと思っています』と役場からご連絡がありました」

事業を始めるやいなや、それまで数年間2,000万円台だった北秋田市の寄付金額が、半年程で5億円に、翌年には50倍超の14億円にまで急成長。

「私も正直びっくりしたというか、こんなに一気に伸びるものなのかと(笑)。事業者さんが作る物が良いことはもちろんですけれども、事業者さんや自治体さんが熱心に取り組んでくれたことが大きかったです。色々なタイミングにも恵まれ、本当に運が良かったなと」

地域のファン作りで惜しんではいけないこと

楽天時代の経験やノウハウを振り返ると、ファン作りで大切なことが見えてきたという。

「当時、楽天ですごいリピート率の高いお店があったので、気になってそこが何をしているか調べてみたんです。そうしたら、店長さんが丁寧にお手紙を書いて商品に同封していたんですね。手紙を入れているお店は他にも聞いたことがあったのですが、その店長さんは手紙の内容もお客さんによって変えていて、お手紙でのやりとりもあるリピーターさんも少なくないと知り、本当に驚きました。通販にも関わらずまるで近所の馴染みのお店みたいな関係性を築いていることに通販の可能性を実感したんです。そんな風にお客さんとのつながりを大切にして頑張っている楽天出店店舗さんたちへの尊敬の念が基礎になっています」

ウィルドリブンは、返礼品のお届け時期を指定できる時期調整サービスや寄附翌日配送サービスを実施。寄付者の要望に耳を傾け、より高い満足度の獲得を目指している。

「とても手間はかかりますけど、この手間を惜しんだらお客さんを大事にしているということに繋がらない。お客さんを大事にするスタンスを表現する方法として、時期調整サービスなどを事業者さんに提案しています」

ふるさと納税のメリットを活用するためには、事業者にも制度を理解してもらう必要がある。

「事業者さんが地域への貢献という気持ちをお持ちなのは素晴らしいことですけど、『役場のために(返礼品を出す)』というのはちょっと違うと思うんです。事業者さんにとってふるさと納税はチャンスがたくさん転がっている場所であり、寄付者さんは事業者さんの商品を受取るお客様。だからこそ事業者さんには自社商品を選んでくれた寄付者さんに素敵な体験をお届けできるよう一緒に頑張っていただきたいんです」

ふるさと納税事業の支援はするが、事業者に持ち続けてほしいのは当事者意識と責任感。

「支援した事業者さんの返礼品に申込が増加して、『こんなに自分の商品を全国各地からほしいと申し込んでもらえると思っていなかった!』と喜んでくだっている事業者さんをみると、すごくやりがいを感じます。事業者さんと一緒にがんばってお届けした返礼品ひとつひとつが寄付者さんの素敵な思い出に繋がったり、その地域や事業者さんを応援したいという気持ちに繋がったりしていくと信じています。それができるのはふるさと納税ならではなのかなと思います」

「弊社では営業職をFNC(ふるさと納税コンサルタント)と名づけていますが、私たちが提案したことによって、事業者さんが変わっていくきっかけになったり、何かを始める出発点になったりしたいですね。そこがFNCという言葉に込めた意思ですし、価値だと考えています」

他にも、ウィルドリブンが掲げるリモーカル戦略、時期調整サービスを生み出したきっかけなどについて、高田さんが『ふるさと納税地域商社会』で語ってくれた。

『ふるさと納税地域商社会』

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