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地域は“教育の種まき”でもっと良くなる【徳島・地域商社】Disport

ローカルに根差す地域プレーヤー。そんなプレイヤーが複数集い、日々、魅力づくりに邁進しているのが「ふるさと地域商社」です。彼らのユニークな取り組みを紹介する連載をスタート。

地方創生の柱として、ローカル地方での一次産業の創出、教育の活性化に取り組むDisport(ディスポート)。徳島県の海陽町で「あまべ牡蠣」の養殖を成功させ、地域の特産品を作り出しました。さらに少子化に悩む県立高校で「海部高校魅力化プロジェクト」を展開し、県外からの入学者数を増加させている真っ只中。

数十年後の地域の未来を考えると、若い世代の教育が重要だと語るのは、高畑拓弥さんと中村悠さん。「地域は“教育の種まき”でもっと良くなる」。多様性を歓迎する環境づくり、社会で活躍できる人材を育むことが、これからの地方創生で大切だと高畑さんは実感しています。

スマート水産業賞を受賞した牡蠣養殖の取り組み、海部高校魅力化プロジェクトで目指す未来図について、高畑さん(写真左)と理事の中村さん(写真右)にお聞きしました。

子どもたちを大きく育てて、地域に大きな還元を

Disportが海陽町でふるさと納税支援事業を始めてから、寄付金額や事業者の売り上げは増加傾向に。200万円ほどの寄付だったところから、今では1億円を超えるまでに至った。ところが、成長にブレーキを感じることもあるという。

「商品が売れているので、『来年はこの倍を売っていきましょう!』と提案するのですが、事業者さんが高齢化しているので、『もう無理』『引退するわ』『いい夢見させてもらった』というケースも出てきています。商品を売るだけでは変わらないステージまで来ているんだと感じました。こうしたことがあって、僕たちも生産者側になって構造自体を変えないと、ずっと同じことが起こり続けると考えて、牡蠣養殖を始めたという経緯もあります」(高畑さん)

「従来式の方法でやっていたら、みんな辞めていってしまう。次の30年、50年を考えたとき、新しい手法をやらなくちゃいけません。『失敗するんじゃないか』と言う人は多いですが、『絶対に結果を出す!』という想いでやっています(笑)。構造を変えることにはしんどさはあるのですが、その課題を乗り越えた先には次のフェーズに入れるんじゃないかな」(高畑さん)

一朝一夕にはいかないのが地方創生。それでも頑張れるのは、海陽町の地域の人々の魅力が大きいそう。

「海陽町は人の魅力がすごくいい。書籍にもなっているのですが、海陽町(旧・海部町)は日本一自殺率が低い町なんです。分析で出ているのですが、海陽町の人たちは学歴をあまり気にしなかったり、自分が社会を変えられる、というような感覚が高いみたいです」(高畑さん)

人との距離感も、海陽町ならではの心地よさがあるという。

「田舎には監視社会や村八分のような側面がみられることもありますが、海陽町の人たちはあまり他人に関心を持たない(笑)。田舎に憧れている人からするとドライに感じるかもしれないですが、人にそこまで干渉しすぎない。一方で、頼られたら喜んで助けてくれる。そういう町だから移住者も受け入れてくれるし、面白い人たちが多いです」(高畑さん)

Disportが目指すのは、地域で興す一次産業と教育事業。これからの海陽町の未来について、Disportが大切にしていきたいことを聞いてみた。

「教育は種まきだと思うんです。子どもたちが種でもあるし、農業でも漁業でも土壌が重要。地域として教育に良い形でどれだけコミットできるかが大切です。土壌が喧嘩しちゃったり、ぐちゃぐちゃになっていたら、種が良くても育たない」(高畑さん)

海陽町は少子高齢化が課題の地域ではあるものの、必ずしも若者が地域に居続けることが正解ではないと、高畑さんは考えている。

「世の中が情報化されているので、子どもたちはいろいろなことを知っていますし、海陽町には大学もないから外に出ていきます。僕らは子どもたちを大きく育てることが重要。ブーメラン戦略と僕は呼んでいるのですが、強く外へ飛ばすと強く戻ってくる。

海部高校では県立高校としては日本初となる、アメリカのマーセッドカレッジとの連携協定を締結し、生徒達がアメリカの地で、これからの世界の動向を肌身を持って感じるプログラムもあります。地域を応援してくれる人は、ふるさと納税などで地域のために何かしようとしてくれるはず。取り組みを連続性のあるものにして、海陽町だけを良くするというよりは、ここで実装したものをもっと広げられたらと思います」(高畑さん)

牡蠣の養殖技術や教育の充実を、海陽町から全国へ。地域が元気になることで、日本全体が盛り上がる未来を描いているのがDisport。海陽町で育まれるたくさんの種がどんな風に大きくなるか、ぜひその目で確かめてほしい。

地元住民も巻き込んだ海部高校魅力化プロジェクトや、セオリーを覆す「あまべ牡蠣」で地域産業創生を目指すDisport。その活動について、2人が『ふるさと納税地域商社会』で語っています。

『ふるさと納税地域商社会』

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